新宿伊勢丹のアートギャラリーで二年に一度開催されている九谷焼作家・北村和義さんの個展が、間もなく始まろうとしています。
今回用意した作品数は、なんと過去最多の90点!しかもその半数以上が新作とのことで、北村さんの強い意気込みが感じられますね。
この記事では前回に引き続き、2023年7月に新宿伊勢丹で行われる個展のご案内と、開催に先駆けて、北村さんが現在制作中の未発表の新作の一部をお見せします!
第11回・北村和義 九谷作陶展@新宿伊勢丹
日程:2023年7月19日(水) ~ 2023年7月25日(火) 午前10時~午後8時[最終日は午後6時終了]
会場:伊勢丹新宿店 本館6階 アートギャラリー
※会期中は北村さんも在廊予定
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北村和義さんの【2023年最新作】をご紹介
線描色絵金彩 大皿「四神の集い」
前回の記事の中で線描きの完了までをレポートした「四神」の大皿は、その後「四神の集い」と名付けられました。
描いた線を定着させるために760℃に熱した窯の中で一度目の焼成➡金盛り➡820℃で二度目の焼成➡九谷の五彩絵具で色付け という工程。
金やプラチナを除くと、北村さんが一つの作品に使うのは大体5~6色だそうです。
絵具と言っても、実は塗る段階ではこのように、きなり・薄いグレー・ちょっと濃いグレー・薄いピンク・ちょっと濃いピンク、というような色合いなんですよね。どこに何を塗ったか分からなくなる・・・ことは無く、しっかり見分けが付くそうです。さすが匠!
そして820℃の窯へ。熱と絵具成分との化学反応が起きて初めて、この九谷焼ならではの鮮烈な彩りを放ちます。
金盛りをした部分に金やプラチナを塗り、670℃の窯で最後の焼成を経て・・・
迫力のある「四神」が描かれた華やかな大皿が完成しました。
その他新作
北村和義さんと言えば動物モチーフの作品が多いことで知られていますよね。個人的には、これまではどちらかというと動物たちのあくまで自然体の、凛とした強さやしなやかさを感じる作品が多かったように思います。
例えば👇の鹿の作品のように、あちらの世界を、こちらがこっそり覗かせてもらっているかのような。
近頃はというと、動物たちの愛らしさを存分に感じられる作品も増えています。
まるで絵本の挿絵のような、ちょっとメルヘンチックな雰囲気がしませんか?
北村さんご自身が動物や自然を愛でているからこそ滲み出る、愛嬌たっぷりのいきいきとした動物たちの姿が表現されています。これからも、北村和義の世界観がどのように進化していくか、楽しみで仕方ありません。
もちろん上で紹介した「森を歩く鹿神」のような、従来の人気作品たちも健在なので、同じモチーフでも描かれ方によって少し雰囲気が違うのを見比べたりして楽しめそうです。
必見!立体作品に新作が出ます
昆虫シリーズから始まり、鳥シリーズを経て、新作が登場します!
今回は自転車でお出かけする動物たちがモチーフ。自転車部分こそ高岡銅器の銅製ですが、動物たちは全て粘土で作らなければなりません。造形に苦労して、やっとこさ仕上がった最新作です。
健気に自転車を漕ぐ、ポテっとした動物たちの可愛さと言ったら・・・!
これまでの工程はもとより、全方位360°の絵付けが、それはそれは大変だったそうで、それぞれ1体ずつしか作れなかったとのこと。今回の個展で大注目の作品となりそうです。
新宿伊勢丹でお待ちしています
7月19日(水) ~ 7月25日(火)の会期中は毎日、北村さんが在廊します。そもそも作家さんの展覧会に行ったことが無いよー、という方もお気軽にギャラリーを覗いてみてください!
焼き物に限らず、芸術家の方って気難しそう・・・という先入観をお持ちの方(私自身がそうでした)もいらっしゃるかもしれませんが、安心してください。北村さんはものすごくフレンドリーでおしゃべり好きなタイプの作家さんです。より幅広い世代に、より広い世界に九谷焼を知ってもらうきっかけになればと、ご自身が時々Instagramに投稿されているのですが、その投稿を「見ました!」と、ふらっと個展に来てくれる若い方が年々増えているそうで、これは本当に嬉しいことなんだと仰っていました。
当たり前なことを言いますが、何より北村さんの作品って、スマホやパソコンの画像でみるよりも実物の方が格段に綺麗なんですよね。線の多さ、細やかな模様、九谷の彩り・・・ぜひ「本物」をその目で見て楽しんでいただきたいです!写真撮影やSNSに投稿なんかも、もちろんOKです👌
お時間の許す方はぜひ新宿伊勢丹まで、北村さんと、北村さんの描く動物たちに会いに行ってみてくださいね。
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